今週の大局観・エグゼクティブサマリー
USD/JPY
米利上げ観測が下支えする一方、158.65〜158.77円(200日線・先週高値)が厚い壁。片山財務相の牽制発言もあり上値は重め。CPI上振れで159円台定着なるか、下振れなら157.25円割れから156円台後半を試す展開を想定。
EUR/USD
週半ばに1.1273ドルまで上昇も、10/2高値1.1285ドル手前で失速し、雇用統計後は1.1131ドルまで反落。1.1104ドルのサポートを終値で割り込むと1.10ドル台前半が視野。ECB利上げ観測が下支え材料。
クロス円
ユーロ円は178.48円(10/1以来の高値)から176円台半ばへ反落、ポンド円も英利上げ後に213.77円で天井。欧英の利上げ期待はあるものの、米ハイテク株安→リスク回避の円買いが優勢で戻り売り目線。
先週の相場振り返りとファンダメンタルズ分析
先週(11/2〜11/6、11/3は文化の日で東京休場)のドル円は157.26〜158.77円のレンジで上下し、週末は158.48円で取引を終えました。米ISM製造業(55.5)・JOLTS求人・雇用統計と米指標は軒並み強く、米10年債利回りは一時4.90%まで上昇。一方で米中間選挙での民主党の上下両院勝利とAIデータセンター投資への懸念からナスダックが5日に5.52%急落し、円買いが上値を抑えました。ユーロドルは1.1273ドルから1.1141ドルへ反落しています。
※記載している時刻はすべて日本時間(JST)です。
11/4(水)早朝 米9月JOLTS求人件数 (予想上回り4か月ぶり高水準)
年内利上げ観測で米長期金利が上昇し、ドル円は週高値158.77円まで上昇。ただし200日線(158.6円前後)で失速。日中は中間選挙で民主党が上下両院を制したとの報道を受け日本株が下落し、157.41円まで押し戻される場面も。
11/5(木)深夜〜11/6(金)午前 ナスダック急落・日経平均急落 (AI関連株売り)
新規失業保険申請件数18.9万件で158.50円まで上昇後、ナスダック総合が5.52%安と急落しリスクオフの円買い。6日の東京時間は日経平均が一時4,000円超下落し、ドル円は週安値157.26円まで下落したが、売りは続かず157.80円近辺へ切り返した。
11/6(金)22:30 米10月雇用統計 (NFP+16.5万人/予想+5.6万〜6.5万人)
失業率4.1%(前回4.2%)、平均時給は前月比+0.4%、8・9月分も計8.4万人上方修正と強い結果。ドル円は158.58円まで上昇し3日ぶり反発で158.48円引け、ユーロドルは1.1131ドル(10/29以来の安値)まで下落。なお植田日銀総裁は「基調的な物価上昇率は2%に到達」との認識を示したが、相場の反応は限定的。
最新為替チャート(ライブ配信)
チャート上部のボタンから、通貨ペアと時間足(5分〜1週)をワンタッチで切り替えられます。
※チャートのタイムゾーンもすべて日本時間(JST)に統一しています。
USD/JPY (ドル円)
- 111/4 早朝 158.77円 週高値(JOLTS)
- 211/6 東京 157.26円 週安値(株急落)
- 311/6 22:30 158.58円 雇用統計で反発
クリックでチャート上に解説を表示します(JST)
プロの視点:今週のテクニカル&相関分析
💡 短期トレードの注意点
今週は10日(火)22:30の米CPIに材料が一極集中します。発表直前の22:00〜22:30はスプレッド拡大・急な上下動に注意。前年10月分のデータ欠落により前年比は変則的な比較となるため、市場は前月比(特にコア)に反応しやすい点も意識を。また、ドル円は160円に近づくほど片山財務相らの口先介入・実弾介入への警戒が強まります(9日には財務省が7〜9月の介入実績を公表予定)。11日(水)は米ベテランズデーで米債券市場が休場となり、東京〜NY序盤の流動性低下にも注意してください。
USD/JPY(ドル円):200日線を巡る攻防、CPIでレンジ放れを狙う
レンジ(上値警戒)
予想レンジ
156.40〜159.20円
先週終値 158.48円
- 上値の節目:158.65〜158.77円(200日線158.66円・先週高値)→ 159.04円(9/24高値)→ 159.13円(100日線)。上抜けて定着できれば159.20円方向。160円接近では介入警戒が一段と強まる。
- 下値の節目:157.97円(25日線)→ 157.25〜157.40円(先週安値圏)。割り込むと156.65〜156.92円が次の目安。
- 米金利との相関:米10年債利回りは4.86%(一時4.90%)、2年債は4.51%と高止まり。CPI上振れで金利が5%に迫れば、ドル円の上値トライを後押し。 → 米10年債利回りをチャートで確認
- 米株(AI関連)との相関:ナスダック総合は5日に5.52%急落後、6日は+1.09%(24,579.42)と反発。ダウは51,285.73ドルで続落。株安=円買いの連動が強く、ハイテク株の再下落はドル円の下押し要因。 → NYダウ / → ナスダック100
- 原油との相関:WTIは90.83ドル。対イラン軍事行動の終結観測で原油が下落すれば、米インフレ期待の低下を通じてドル円の重しに。 → WTI原油
EUR/USD(ユーロドル):1.1104ドルのサポートを守れるか
弱気(戻り売り)
予想レンジ
1.1100〜1.1350ドル
先週終値 1.1141ドル
- 上値の節目:1.1269〜1.1285ドル(先週高値1.1273ドル・10/2高値)。ここを明確に上抜ければ1.1314ドル、1.1370ドルへの戻りが視野。
- 下値の節目:1.1131ドル(先週安値)→ 1.1104ドル(2度下げ止まった重要サポート)。終値で割り込むと下落トレンド再開のサイン。
- 金利差・ファンダ:ユーロ圏10月HICPは前年比4.0%と高く、独連銀総裁の「12月利上げもあり得る」発言などECB利上げ観測がユーロの下支え。一方、仏2027年予算案を巡る財政不安が重し。13日(金)19:00のユーロ圏GDP改定値にも注目。
- ドル側の材料:基本はドル主導。CPI上振れ→ドル高でサポート割れ、下振れ→1.12ドル台後半への戻りがメインシナリオ。
- 金(ゴールド):金先物は4,074.9ドルと金利上昇・ドル高で反落。ドル安局面では金とユーロが同時に買われやすい。 → 金スポットをチャートで確認
今週の重要イベントと注目指標
11/10(火)22:30 米10月消費者物価指数(CPI)
FRBは10月会合で政策金利を3.75〜4.00%に据え置いたものの2名が利上げを主張し、市場は12月利上げを約6割織り込んでいます。強い雇用統計の直後だけに、CPIが上振れれば利上げ観測が一気に強まり、ドル円は200日線の上抜けを試す展開に。下振れなら観測後退で157円割れリスクも。同日8:50の日銀「主な意見」と合わせ、日米の金融政策観が交錯する一日です。
| 日付 | 主なイベント・指標と解説 |
|---|---|
| 11/9 (月) | 【中国】10月消費者物価指数・生産者物価指数 (★★☆) (10:30)
└ 前回CPI前年比0.9%、PPI前年比5.0%。資源・素材価格の動向から豪ドル円などに波及しやすい。 【日本】7〜9月期 為替介入実績(日次ベース) (★★☆) (財務省公表・時刻未定)
└ 実弾介入の有無・規模が判明。介入が確認されれば160円手前での警戒感がさらに強まる。 【英】ベイリー英中銀(BOE)総裁 講演 (★★☆) (26:25)
└ 5日に4.00%へ利上げ(8対1)した直後。12月追加利上げへの言及があればポンド円の材料に。 |
| 11/10 (火) | 【日本】日銀金融政策決定会合「主な意見」(10月29〜30日開催分) (★★☆) (08:50)
└ 年内利上げに前向きな委員の数がポイント。タカ派的な意見が多ければ円買い材料。同時刻に9月経常収支・貿易収支(★☆☆)も公表。 【米】ウォラーFRB理事 講演 (★★☆) (18:00)
└ CPI直前の発言。12月利上げへの姿勢に注目。 【米】10月消費者物価指数(CPI) (★★★) (22:30)
└ 前回(9月)コア前月比+0.3%。前年10月分の欠落で前年比は変則的な比較となるため、前月比(特にコア)が最大の焦点。民間予測にはコア前月比+0.2%程度への減速を見込む声も。 トレードシナリオ(予想)
|
| 11/11 (水) | 【米】コアウィーブ(CoreWeave)決算 (★★☆) (07:00 決算説明会)
└ AIデータセンター関連の代表銘柄。内容次第でハイテク株安(円買い)の再燃・一服を左右。 【米】ベテランズデー(復員軍人の日) (★☆☆) (終日)
└ 米債券市場は休場(推奨)、米株式市場は通常取引。米金利の動きが止まり、薄商いの中での突発的な値動きに注意。 |
| 11/12 (木) | 【日本】10月企業物価指数 (★☆☆) (08:50)
└ 円安・原油高による輸入物価の上振れが続くかを確認。 【日本】浅田日銀審議委員 講演 (★★☆) (10:30)
└ 植田総裁の「基調物価2%到達」発言を受け、年内利上げへの温度感が焦点。 【英】7〜9月期GDP速報値・9月月次GDP (★★☆) (16:00)
└ 前回は前期比+0.5%。英中銀の12月追加利上げ(観測約5割)を占う分岐点。ポンド円の上下に直結。 【米】新規失業保険申請件数 (★★☆) (22:30)
└ 前回18.9万件と約57年ぶりの低水準に並んだ。引き続き低水準ならドルの下支え。 【米】10月中古住宅販売件数 (★☆☆) (24:00)
└ 前回年率399万件。高金利下の住宅市場の減速度合いを確認。 |
| 11/13 (金) | 【米】ウィリアムズNY連銀総裁 パネル討論 (★★☆) (08:30)
└ CPI結果を受けたFRB中枢の評価に注目。 【仏】10月消費者物価指数・改定値 (★☆☆) (16:45)
└ 速報値からの修正有無を確認。 【ユーロ圏】7〜9月期GDP・改定値 (★★☆) (19:00)
└ ECB利上げ観測と景気の両立が確認できるか。ユーロドル・ユーロ円の材料。 【米】10月生産者物価指数(PPI) (★★☆) (22:30)
└ 前回前年比6.3%と高水準。CPIの結果を補強・修正する材料として週末のポジション調整を誘発しやすい。同日にジェファーソンFRB副議長の講演(時刻未定)も。 |
トレード必須用語解説 初心者の方向け
200日移動平均線
過去200営業日(約10か月)の終値の平均を結んだ線。長期トレンドの境目として世界中の投資家が意識するため、上抜け・下抜けの前後で売買が集中しやすい節目です。今のドル円は158.66円付近にあり、先週もここで上昇が止まりました。
コアCPI(前月比)
値動きの大きい食品・エネルギーを除いた消費者物価指数。物価の「基調」を示すためFRBが重視します。前月比0.1%の差でも年率に直すと約1.2%の違いになるため、市場予想との0.1%のズレでドル円が大きく動くことがあります。
口先介入と実弾介入
財務大臣や財務官が「過度な変動は望ましくない」「あらゆる手段を排除しない」などと発言し、円安をけん制するのが「口先介入」。実際に外貨準備を使ってドル売り・円買いを行うのが「実弾介入」です。発言の強さが段階的に上がるほど実弾介入が近いとされ、ドル円の上値を抑える要因になります。